【書評】「コンビニ人間」を読む~「普通」とは何か~
こんにちはm(_ _)m
正月の贅沢により明かに太りました.
でも周りからは正月を通して「痩せた」との報告は聞いたことがありませんね.
年をまたいでしまいましたが,なんとか昨年のうちに読み終えてはいました.
タイトルを見ただけで,コンビニでのバイト経験もあるし共感できて楽しいかな,と手に取ったのですが,なかなか考えさせられる作品でした.
「普通」の定義
皆さんは自分のことを「普通」と思うでしょうか.
そもそも何をもってその人を「普通」と決めているのでしょうか.
本作品に登場する主人公は30代半ばの独身で,正社員にはならず20年弱コンビニでアルバイトをして生活している女性です.
そして序盤にエピソードがありますが,主人公は幼いころから空気を読むのが苦手な人間でした.
皆さんもこれを読んで,主人公は「発達障害」だったり,所謂「アスペルガー症候群」だと感じたかもしれません.
ジブンもそうでした.
でも著者の村井さんは作中で発達障害とは直接記述していません.
これは著者からの「普通とは何か?」という問いかけだと感じました.
「普通」な人なんていない?
辞書を引いてみると,「普通」というのは「特に変わっていないこと.ごくありふれたものであること.」という意味合いがあります.
でも改めて考えてみると,普通でいることほど難しいことはないと思います.
それは人々の価値観で簡単に左右されるからです.
例えば作中にも出てきましたが,30代半ばになってもバイトしかしていない人を「普通じゃない」と見なす人は多いでしょう.
真冬に半袖短パンでいる人を「普通じゃない」と見なす人もいるでしょう.
スパゲッティを箸で食べていたら「普通じゃない」と見なす人もいるんじゃないでしょうか.(だいぶ飛躍しました)
このように,日常生活に「異端」は挙げてみればたくさん存在しますよね.
この「異端」を一つも持たない人はおそらくいないと思います.
作中の主人公だってこの「異端」を少し多く持ち合わせているだけかもしれません.
そう考えていくと「普通」であることは不可能に思え,誰もが誰かにとっての「異端」なんじゃないかと感じました.
終わりに
「異端」であることを避け,「普通」でいようとする人は多いです.
「普通じゃない」人は周りから村八分にされてしまうからです.
でも誰だって周りからすれば「普通じゃない」一面を抱えています.
むしろそれは短所と思わず,いっそのこと長所だと思ったほうがいいかもしれません.
周りの人々や自分自身に対する価値観が少なからず変わった作品でした.
今回はこんなところで.ではでは(^_^)/