【書評】「夢をかなえるゾウ」で自分を変えられるか
自分を変えたいと思っている人はどのくらいいるのだろうか.
この本は周りが読んでいたのでタイトルだけ知っていた.
本屋でサラッと読んでみたら案外読み易く,普通に小説としても面白い読みものである.
登場人物,ストーリーの軽さのおかげで「自己啓発」というジャンルのハードルを大きく下げているのが良い.
今の自分に満足していない,という人は一度読んでみる価値があるかもしれない.
一味違う自己啓発本
あらすじはちょっとありふれているかもしれない.
パッとしない主人公のもとにガネーシャと呼ばれる神様が降りてきて,ガネーシャの言うままに「課題」をこなし,そのうちに主人公が成長していく物語である.
前述したとおり,この本は所謂「自己啓発本」というものだ.
いままでその類を読んでこなかったので,初めての自己啓発本にしてはかなり新鮮であった.(と,いうかこの本を読んで他のレビューを見るまで自己啓発本と思わなかった)
作中で神様が出す課題は「成功」への道に一見遠回りであるように思える.だがすべての課題の根拠は過去の偉人に基づいている.
単に偉人のエピソードを知るという意味でもいい作品だが,自分の境遇を考えてはっとさせられる部分も少なからずあった.
夢は大きく,でも地に足をつける
怠け者ほど,動かずに成功した自分をただ妄想するものである.
(ジブンも人の事を言えない立場だが)
だがガネーシャの教訓にもある通り,夢を持つのは悪いことではない.
むしろ夢がないと原動力にならないし,人生がつまらなくなる.
人によって持つ夢は実現しうるものであったり,途方もないものであるかもしれない.
その夢を実現するのにまず何をしたらいいのかすら分からないかもしれない.
そんな時は,まず過去の成功者に倣ってみるというのも一つの手である.
本作品は,成功のきっかけを与えてくれている...そのようにも感じた.
あれこれ考える前にまず動く
作中に登場する名言のなかで一番なるほど,と思った部分である.
自分の意識を変えてくれる本や番組,ブログは今や数多くあるだろう.
でも実際に自分が変われるのは,ガネーシャの言葉を借りれば『立って,何かをした時だけ』である.
何かを見て,読んで,意識が変わることはあるかもしれない.でもそれは想像だけで終わってしまって,実際に何かが変わったわけではない.
「論語読みの論語知らず」にならないためにも,まずはこの中の一つでも実行してみることから始めてみるのがいいかもしれない.
終わりに
成功してる人もそうでない人も,「今の自分に満足している」人は幸せであると思う.
例えばこの本を読んで今までやれなかったことに挑戦してみた,周りの環境を変えてみた,など,数多くの課題のうち一つでも実行できていたとしたら,この本を読んだ効果は十分にあるかもしれない.
読んで下さってありがとうございました.